鰓の後ろの黄色や、脂ビレと尻ビレのオレンジ色が濃くて鮮やかなのが天然アユですよ
2020年の長い梅雨がようやく開け、夏本番となりました。夏といえばアユ!スーパーでもアユをよく見かけます。
スーパーのアユは養殖と天然の別が表示してあり、また、養殖アユは1尾100円ぐらいですが、天然アユは養殖アユの数倍の価格になっています。このようにスーパーで売っている生のアユは、養殖か天然かの区別が簡単です。
では、塩焼きで売っているアユはどうでしょうか。スーパー、夜店、ドライブインや産地直売所で塩焼アユを売っていますが、養殖と天然の表示はありません。安い養殖アユを高い値段で売っているかもしれません。
実は、養殖アユと天然アユは、鰓蓋(エラブタ)の後ろの黄色や、脂ビレや尻ビレの色で見分けることができるのです。天然アユは、鰓蓋の後ろの黄色が鮮やかで、脂ビレや尻ビレがかなり濃いオレンジ色であることが特徴なのです。
アユといえば、独特の香りや鮮やかな色合いが特徴です。この香りや色合いは、アユが食べた餌に左右されます。
天然アユは川底の石に付いている藻類を食べて育ちます。藻類には香りや色合いの成分が含まれ、藻類をたくさん食べたアユは、香りが高く、鰓蓋の後ろの黄色や各ヒレの黄色・オレンジ色がとても鮮やかです。
一方、養殖のアユは魚粉を主体とした配合飼料を食べて育ちます。そのため、香りは薄く、黄色やオレンジ色もほぼ無いか薄いのが特徴です。
なお、このアユ独特の香りの成分は2,6-ノナジエナールであり、鰓蓋の後ろの黄色やヒレのオレンジ色の成分はゼアキサンチンだそうです。サフランの色素と同じ成分だとか。高級感出ますね。
アユを丸ごと食べた時、内臓が砂でジャリジャリでした
塩焼きアユの内臓はほろ苦く、それを冷酒でキュッと喉の奥に流し込む。至福の時間です。しかし、内臓が砂でジャリジャリしていて食べられなかったことはありませんか。
このジャリジャリも天然アユの証拠なのです。河川が増水して濁っている時、アユは砂利を飲み込んでいます。聞いた話によると、体を重くして激流に耐えているのだそうです。アユの内臓のジャリジャリは、アユが増水時に飲み込んだ砂利が原因なのです。
上流にダムがあり濁りが長く続く河川では、内臓のジャリジャリが取れず、天然アユの品質は悪くなってしまいます。
私の住む愛知県では、天竜川水系や豊川水系の天然アユは上流に大きなダムがなく、天然アユの品質も良く、「利き鮎グランプリ」では良い成績を収めたこともあります。
しかし、矢作川水系の天然アユは残念ながら内臓のジャリジャリが気になってしまいます。
私と夫の古くからの先輩(師匠)が豊川水系の寒狭川で川漁師をしておられます。アユのシーズンはアユ漁をし、そのほか、農作業、山菜やキノコを採って暮らしておられます。自然とともに暮らしておられる姿にとっても憧れます。
しかし、豊かな恵みをもたらしてくれていた寒狭川の最上流に設楽ダムが建設されようとしています。高品質だった寒狭川の天然アユも品質が落ちるでしょう。とても残念です。また、先輩(師匠)のアユ漁もどうなってしまうのでしょうか。