新型コロナウイルス感染症により志村けんさん、岡江久美子さんが亡くなりました。ご冥福をお祈りします。お二人は遺された人たちにお別れの言葉を伝えることができたのでしょうか。とても気になりました。
 誰にも必ず訪れる「死」ですが、死に方は選ぶことができません。終活(終末の活動)の1つとして、最愛の人たちに最期の言葉を遺すとともに最愛の人たちが困らないようエンディングノートを書いておくことをお勧めします。また、私の実体験としてもエンディングノートがあれば良かったと思うことがあります。
 義父は2014年3月に突然の大吐血で緊急搬送され、末期の胃がんと診断されました。6ケ月の入院生活の後、77歳で亡くなりました。義父は岐阜県飛騨市で一人暮らしだったので、長男の嫁である私は愛知県と飛騨市を頻繁に行き来しました。義父の入院に始まり、看護・葬儀・相続と大変苦労しました。この時、エンディングノートがあれば多くの事がスムーズに運び、義父の思いにも沿うことができたでしょう。

エンディングノートを書く時期

 義父が入院する12年前、夫は義父へエンディングノートをプレゼントし、元気なうちに書いてほしいとお願いしていました。しかし、義父は入院しても書くことはありませんでした。入院した義父にとって、「エンディングノートを書く=死」と感じてしまうのは必然でしょう。
 エンディングノートを書くことは、死の準備をしているということです。病気など死を身近に感じている状態で書くことはかなり辛いことになります。そのため、エンディングノートを書くのは、早ければ早い方がよいのです。また、エンディングノートは死の準備です。死の準備をすることは死を意識すること、死を意識することは生に限りがあると気づくこと、生に限りがあると気づくことは今を大切にしようと思えること。エンディングノートは今を生きるためでもあるのです。

彼岸花
彼岸花から飛び立つアゲハチョウ

エンディングノートを書くメリット

 エンディングノートのメリットは本人・遺族ともありますが、本人にとって最も大きなメリットは、最愛の人たちへのお別れの言葉を遺せることだと思います。私もエンディングノートを書いていて涙が溢れ、心が穏やかになりました。
 また、死んでしまった私の祖父母や父がエンディングノートを書いてくれていたら、ノートが辛い時の心の支えになったと思います。
 今、誰がコロナウイルス感染症に罹ってもおかしくない状況にあり、不幸にも死を迎える可能性があります。人生終盤戦の方々は元気なうちに、ぜひエンディングノートを書いてください。

エンディングノートを書く本人にとってメリット

  • 誕生日、血液型、学歴など自分の経歴が一冊でわかる。
  • 医療保険、生命保険、年金保険を書くことにより、保険の棚卸ができ無駄な保険を見直すことができる。
  • 臓器提供、葬儀、相続などについて、自分の意思を明確に表示できる。
  • 銀行口座、クレジットカード、各種サービスなどを書き出すことにより、使っていない無駄なものを解約することができる。
  • 遺される最愛の人たちへのメッセージを書くことで自分の心が穏やかになる。最愛の人々に優しく接することができる。今という時間が愛おしくなる。
飛騨市古川町
一方向にしか流れられない川の流れが人生を象徴しているようです(岐阜県飛騨市古川町)

エンディングノートは定期的に見直しましょう

 エンディングノートを書いた後は、誕生日や正月など時期を決めて、1年に1回は見直しましょう。情報が古くなっていては、せっかくのエンディングノートも台無しです。
 私のエンディングノートは加筆・訂正を加えながら更新して3冊目となります。エンディングノートは各社から販売されており、内容も良くなってきています。私の勧めるエンディングノートはKOKUYOのエンディングノートです。書き込む内容もシンプルで紙質も良く、保存性も良さそうです。さすが大手文具メーカーです。また、CDやDVDを収納できるのも気に入っています。
 古いエンディングノートは保存・廃棄のどちらでもいいと思います。私は捨てる派です。情報の混乱を避け、老後に向けて少しでも物を減らしたいとの思いからです。もちろん捨てる時は必ずシュレッダーをかけ個人情報を保護しています。